文部科学省の調査によれば、小学校、中学校において学習面や行動面で著しい困難を示す児童、生徒は全体の6.5%いることがわかりました。その数はおよそ60万人で、1クラス30人のうち2人いることになります。

文部科学省の調査から、発達障がいを抱える子どもに関するデータをまとめてみました。

学習面や行動面で著しい困難を示す児童、生徒は6.5%

下の図は、学習面や行動面で著しい困難を示す児童、生徒の割合を示したものです。学習面の著しい困難は、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するなどの能力が学年相応ではない場合で、主に学習障がい(LD)の子どもが該当します。行動面の著しい困難は、不注意や多動性、衝動性が見られたり、対人関係がうまくいかなかったり、強いこだわりを持っていたりする場合で、ADHD自閉症の子どもが該当します。


調査によれば、学習面に著しい困難を示す児童生徒は4.5%で、行動面は3.6%、両面は1.6%という結果でした。いずれかに著しい困難を示す児童生徒の割合は6.5%となり、1クラス(30人)に2人いることになります。

出典:通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について(文部科学省)

行動面ではADHDの子どもの割合が高い

下の図は、行動面を「不注意・多動・衝動」と「対人関係・こだわり」に分けた場合の割合を示したものです。不注意・多動・衝動は、発達障がいのADHDに相当し、対人関係・こだわりは自閉症に相当します。自閉症よりもADHDのほうの多いことがわかります。また、複数の障がいを抱えているどものいることもわかります。

出典:通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について(文部科学省)


下のグラフは、学習面、行動面における困難の内容を分類したものです。学習障害(LD)では、「聞く」「話す」よりも「読む」「書く」が苦手であることがわかります。また、ADHDでは、多動、衝動よりも不注意の問題を著しく示すケースの多いことがわかります。

出典:通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について(文部科学省)

学習面、行動面で困難を示す児童生徒の割合を男女別で表したものが下のグラフです。男子の数は女子の数の2倍以上いることがわかります。

出典:通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について(文部科学省)

通級による児童生徒は年々増加

下のグラフは、通級による指導を受けている児童生徒数の推移を障がい別で示したものです。発達障がいの中では注意欠陥多動性障がい(ADHD)が1万6,886人で最も多く、続いて自閉症の1万5,876人、学習障がい(LD)の1万4,543人という結果でした。ADHD、自閉症、学習障がい(LD)とも年々増加の傾向にあります。

出典:平成28年度通級による指導実施状況調査結果について(文部科学省)

通級は、通常の小学校や中学校に通いながら個別的に特別支援教育を受けることで、発達障がいを抱える子どもなどが利用しています。2016年の時点では小学校では8万7.000人、中学校では1万人の児童生徒が利用しています。最近では放課後等デイサービスを併用するケースも多く見られます。

出典:平成28年度通級による指導実施状況調査結果について(文部科学省)

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